内容説明
「いずれもすでに破綻している議論の繰り返しにすぎない」。歴史的事実を指摘しながら、典型的な否定論を検証し、くつがえす、総力批判の書。
目次
「東京裁判によるデッチ上げ」説こそがデッチ上げ
本当に誰もが南京事件のことを知らなかったのだろうか?
リアルタイムで世界から非難を浴びていた南京事件
戦争当時中国でも問題にされていた
数字いじりの不毛な論争は虐殺の実態解明を遠ざける
据えもの斬りや捕虜虐殺は日常茶飯事だった
遺体埋葬記録は偽造史料ではない
虐殺か解放か―山田支隊捕虜約二万の行方
国際法の解釈で事件を正当化できるか
証言を御都合主義的に利用しても正当な事実認定はできない
妄想が生み出した「反日撹乱工作隊」説
南京大虐殺はニセ写真の宝庫ではない
歴史修正主義の南京大虐殺否定論は右翼の言い分そのものだ
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
瓜月(武部伸一)
4
南京虐殺が真実との判断は、法的に1997年8月の最高裁「第三次家永教科書裁判」判決により確定している。それに先立ち1985年旧日本陸軍将校の団体偕行社自体、機関誌「偕行」において、南京戦で大規模な中国人への不法殺害があったことを認め謝罪している。にも拘わらず、いまだ書店では南京虐殺を否定する本が多く売られているのを見る。本書は吉田裕など南京事件調査研究会のメンバーが、南京虐殺否定論が捏造であることを、論点整理しながら証明している。引用された小林よしのり、東中野修道らのデタラメ言説にため息をつきながら読む。2021/04/24
SK
1
43*否定論のウソを13の観点から批判している。「南京大虐殺は、あった」と学問的に決着がついている問題なはずなのに、何故こうも政治的に論争が続くのだろうか。小野氏が、こういう学術的な書籍で「俺」という一人称を用いていることに疑問を感じる。笠原さんの『南京事件』も読まねば。2016/02/18
kyabaria
0
(図書館)2017/12/21